星野耳鼻咽喉科 睡眠呼吸センター

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星野耳鼻咽喉科 星野哲朗
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「近畿圏における HTLV1 感染の実情把握の為の研究 多施設共同研究」臨床研究についてのご説明

 

2023年6月13日作成 第 1.2 版

1.はじめに

 患者さんや健康な方を対象として、病気の原因の解明、病気の予防・診断・治療方法 の改善や治療効果を確認することを臨床研究といいます。臨床研究は、国民の健康の保持増進や、患者さんの病気の回復や生活の質の向上に役立つ情報を得ることを目的として行われます。臨床研究の中でも、医薬品や医療機器や手術方法などの医療手段について、有効性や安全性を検討するために行われる研究を臨床試験といいます。当院でも、医学の発展に貢献するとともに、患者さんへ最良の医療を提供するために様々な臨床試験をしています。臨床試験は患者さんの方々のご理解とご協力によって成り立っています。

 この説明文書は、あなたに臨床研究への参加について説明し、参加するかどうかを考えていただくための資料となります。この説明文書をよく読み、担当医師のなお、この研究は大阪大学医学部附属病院倫理審査委員会で倫理的観点および科学的観点からその妥当性についての審査を受け、総長が許可した上で実施しています。説明をお聞きになり、臨床研究の内容を十分にご理解いただいた上で、この研究に参加されるかをあなたの自由な意思で決めてください。わからないことがあれば、どんなことでも遠慮なさらずに質問してください。ご協力いただける場合は、同意書へご署名をお願いいた します。

 なお、この研究は大阪大学医学部附属病院倫理審査委員会で倫理的観点および科学的観点からその妥当性についての審査を受け、総長が許可した上で実施しています。

2.研究の目的および意義

 HTLV-1とは、ヒトT細胞白血病ウイルス(HumanT-cellLeukemiaVirusType1)の略称で、血液中の白血球のひとつであるリンパ球に感染するウイルスです。
HTLV-1が発見されたのは1980年と比較的最近ですが、このウイルス自体は古くから人類と共存してきたものと考えられています。HTLV-1はヒトに感染するレトロウイルス(ウイルスの粒子の殻の中に遺伝子本体としてRNA遺伝子を持つウイルス)の一種です。他のレトロウイルスとしてはヒト免疫不全ウイルス(HIV)などがあります。
 現在、HTLV-1に関しては日本に約100万人前後、世界で推定3000万人以上の感染者がいるといわれています。このウイルスは、インフルエンザウイルス等とは異なり、感染しても全く自覚症状がありませんが、一度感染するとリンパ球の中で生き続け、感染者のごく一部の方に病気を起こします。
 HTLV-1感染は日本においては以前の研究では九州や沖縄など一部の地域に多い風土病のような感染症ではありましたが、最近ではそういったHTLV-1の多い地域から2大都市への人の流れもあり東京や大阪でもHTLV-1感染が増えていることを示唆しているデータが出てきております。
 HTLV-1感染はほとんどの方は何の病気も起こさないとされていますが、一部の方ではATL(エーティーエル)といわれる難治性の血液がんや、HAM(ハム)といわれる神経難病、またはHU(エイチユー)といわれる眼の病気などを発症する場合があります。例えば、ATLは日本語では成人T細胞白血病リンパ腫(adultT-cellleukemia-lymphoma)と呼ばれますが主に高齢の方が発症する血液がんの一つです(発症年齢の中央値は70歳前後)。病気の経過より急性型、リンパ腫型、慢性型、くすぶり型の4つのタイプに分けられます。
 このATLの中でも特に予後が悪い急性型・リンパ腫型のATLに対して抗がん剤を中心としたさまざまな治療法が試みられてきましたが、いずれも満足できる成果があがっていません。最も新しい研究成果を確認しても現在最も有効とされる抗がん剤治療法を用いても、約半数の方は治療開始後約1年で亡くなり、長期的に生存される例も約10%程度と少ないのが実情です。このような非常に難治性の血液がんでもあり、今後さらなる治療法の開発が望ましいところですが、現状ではATLが非常に進行してしまった状態でしか診断されず、積極的な治療が行えないということが頻繁に認められ、なかなか新しい治療法の開発が進んでいないという現状があります。ATLの患者さんに対する治療法は現在選択肢が限られ、その有効性も良いとは言えない状況です。その為、一つの考え方としてもう少し早期に診断して早期に治療を開始することで治療成績が改善される可能性があるのではないかということが言えますが、実際には早期には無症状であることも多く診断できていません。その為、残念ながら現在早期に行うと有効であるという治療法は開発されていないのが実情です。
 ATLは発症年齢の中央値が70歳近く、高齢になってから発病する可能性が高いことが知られています。その為、高齢となってからもHTLV-1感染の有無を評価することはATLという血液がんをはじめとしたHTLV-1関連疾患のリスクを知る上では有用な可能性があります。HTLV1キャリアの方のATLの発症頻度について、プロトコルでは3~5%とされています。この研究においてHTLV1キャリアの頻度が明らかとなるのみならず、HTLV1キャリアでフォロー可能な症例が増えれば、ATLを早期に診断することがより容易となり、そういった症例での早期治療の開発も検討が可能となるものと考えています。

3.研究の方法

1)研究に参加していただく方について

 この研究は、参加施設でなんらかの診療を受けられる方の中で、本人から本研究に対して文書による同意が得られた方を対象としています。高齢等でご本人から同意を得るのが困難な際には代諾者の方に同意を得る形で対応させていただきます。HTLV-1感染者は高齢者の方が多いとされており、本研究において高齢者の参加が必要と考えられます。

 

2)研究の方法

 この研究は探索的な前向き研究であり、この研究に参加した場合にも特に治療法の選択に制限はない非介入の研究になります。
 同意を得られた参加者より登録時に末梢血を採取します。採血量は約5ccになります。採血を自施設で抗HTLV-1抗体測定可能な施設は自施設で、それ以外では株式会社スキルシステムズが抗HTLV1抗体の測定を担当します。測定結果は後日報告させていただきます。抗HTLV1抗体の測定費用は研究費で対応しますので、自己負担はありません。

 

3)結果の提供について

参加者には抗HTLV1抗体の測定結果をお知らせします。

4.実施予定期間と目標症例数

この研究は、2026年3月末まで行われます。また、1,000人の患者さんに参加していただく予定です。

5.予想される利益と不利益

1)予想される利益

 この研究の結果としては抗HTLV1抗体の陽性の有無が明らかとなります。抗HTLV-1抗体が陽性となった際には専門施設の受診をお勧めします。そのことによりHTLV1診療の専門施設で精査を行うことで、早期にATLなどHTLV1関連疾患を診断することが可能となる可能性はあります。つまり、ATLという血液がんを含めHTLV1関連疾患の早期診断につながる可能性があります。早期発見されると、ATLが重症化してしまうまで診断されないリスクを減らせる可能性があります。
 専門医受診後のフォローの頻度等に関しては専門医と相談ください。一般的にはHTLV-1キャリアの場合には年1回程度の受診は勧められます。
 抗HTLV-1抗体陽性の結果の報告の後の追加での検査等の対応についての詳しい説明などは誤解のないようにさせていただくために専門施設受診時にさせていただきます。
 また、家族の方等の相談も希望されることがあるかもしれませんが、その対応に関しても専門施設で同様に対応させていただきますので、専門施設受診時に相談ください。

 

2)予想される不利益

 この研究に参加することで、通常診療で行う血液検査と同時に5mL増量して採血を行います。この研究で採取する量は、診療で通常行っている採血量も踏まえますと、臨床上危険がない量と考えておりますが、気分が悪くなるなどの症状がありましたら、異常があれば担当医までご連絡ください。

6.参加について

 この研究への参加は、あなたの自由な意思で決めてください。たとえお断りになっても今後の治療において不利益を受けることはありません。またこの研究への参加に同意した後にいつでも同意を撤回することができ、不利益はありません。同意の撤回を希望される場合は、遠慮なく担当医師にお伝えください。
また、研究に参加中に、研究参加の継続について、新たに安全性や有効性に関する情報などのあなたの意思に影響を与える可能性がある情報が得られた際は、すみやかにお知らせします。そして、研究に継続して参加いただけるかどうか、改めて確認させていただきます。新たに得られた情報によって参加継続を取り止めたい場合はお知らせください。あなたはいつでも研究参加を取り止めることができます。なお、あなたが研究を途中でやめた場合、あなたの安全を守り、病気の状態を確認するために、検査や診察を受けていただくことがあります。

7.研究に関する情報公開の方法

 この研究の結果は、学会や医学雑誌等で発表される予定です。

8.研究の開示

 あなたが希望される場合は、他の方の個人情報やこの研究の独創性の確保に支障がない範囲で研究計画書やその他の資料をご覧になることができます。お気軽に担当医師までご連絡ください。

9.個人情報等の取扱い

 研究実施の際は、お名前などのあなたを特定できる情報の代わりに、研究用の符号をつけることで個人を特定できないようにします。あなたの抗HTLV-1抗体の情報に関しては研究事務局(大阪国際がんセンター)ならびに担当医に報告されます。
また、この研究が適切に行われているかを確認するために本研究の関係者がカルテなどを見ることがあります。あなたが本研究に同意された場合、カルテ等の内容を見ることについてもご了承いただいたことになります。また、この研究で得られた結果は、貴重な資料として学会や医学雑誌等に公表されることがあります。これらの場合もプライバシーは守られます。

10.試料・情報の保管及び廃棄の方法

 この研究で得られたあなたの血液は、この研究の目的以外に使用することはありません。血液は検査結果をお伝えした後、試験検査実施会社で廃棄致します。
 また、この研究で収集したあなたの情報は、本研究の結果が医学雑誌等に発表されてから5年間、適切に保管された後に復元できないような形で廃棄します。また、情報については別の研究に利用する可能性があります。情報の利用についても、ご協力いただける場合は、同意書の「本研究で得られた情報を別の研究等のために使用することについて」の項の「同意します」にチェックをいれてください。別の研究のための利用をお断りになる場合は、「同意しません」にチェックをいれてください。本研究の結果が医学雑誌等に発表されてから5年間、適切に保管された後に復元できないような形で廃棄します。

11.研究の資金源および研究に係る利益相反

 研究を行うときに、研究費・資金などの提供を受けた特定の企業に有利なようにデータを解釈することや、都合の悪いデータを無視してしまう恐れがあります。これを「利益相反(COI)」といいます。当院では利益相反(COI)の管理を、利益相反委員会が行っており、我々は研究実施に際し、利益相反委員会に利益相反状態の申告を行うことになっています。
 この研究は、令和4年-6年成長型中小企業等研究開発支援事業(Go-Tech事業)「成人T細胞白血病(ATL)早期発見のための画像AI技術の確立」および大阪国際がんセンター血液内科研究費を資金源として実施します。担当医師が個人的に利益を受けることはなく、この研究の実施や報告にあたり、個人や組織の利益のために公正な判断を曲げるようなことは一切ありません。

12.費用について

 研究期間中の検査(抗HTLV-1抗体検査以外)や治療にかかる費用は通常診療と同じように患者さんの自己負担となります。健診施設でも同様に健診の費用は通常と同じように自己負担となります。この研究に参加することにより通常の診療費と比べて、負担が増えることはありません。

13.健康被害が生じた場合の補償について

 この研究は非介入の観察研究であり、基本的には本研究に直接的に関連した健康被害が生じることはないものと考えられます。もし、この研究期間中に健康被害が生じた場合、補償はありませんが、医師が最善を尽くして適切な処置と治療を行います。費用は通常の診療と同様に健康保険による患者さんの自己負担となります。

14.知的財産権

この研究の結果より、知的財産権が生じることがありますが、その権利は研究を行う機関や研究者に属します。

15.研究組織

この研究は大阪国際がんセンター 血液内科が主体となり実施します。

 

【研究代表者】(研究全体を統括する研究者)
 大阪国際がんセンター 血液内科 藤 重夫

【研究事務局】(事務的な業務を行う施設)
 大阪国際がんセンター 血液内科 藤 重夫

【データセンター】
 大阪国際がんセンター 血液内科 藤 重夫

【検体の測定】
参加施設で対応もしくは株式会社スキルシステムズ

【参加予定施設】
大阪国際がんセンター
さゆり女性クリニック
てんのうじちひろウィメンズクリニック
医療法人ヒロレディースクリニック
医療法人聖和会早川クリニック
ハイメディッククリニック WEST
野村クリニックなんば院
星野耳鼻咽喉科
宮本内科

16.お問い合わせ先・相談窓口

この研究は、診療を担当する医師等と緊密な連携を取って行います。この研究について、わからないこと、相談したいことがありましたら、ご遠慮なく相談窓口担当者におたずねいただくか、以下までご連絡ください。

 

大阪国際がんセンター 血液内科

研究責任者:藤 重夫

相談窓口:藤 重夫

〒541-8567 大阪府大阪市中央区大手前3-1-69

連絡先:06-6945-1181(代表)

診療時間
午前診療 8:45~12:00 月~土
午後診療 4:00~ 7:00 月~金

休診日:土曜午後・日祝祭日

※午後の窓口での受付は6時30まで

※金曜・土曜は、院長 星野哲朗、
医師 星野忠彦の2診体制となります

星野耳鼻咽喉科 睡眠呼吸センター

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